ツマグロヒョウモンの蛹が動く理由はこれ

ツマグロヒョウモン蛹が動く生態・特徴

「ツマグロヒョウモンの蛹が動く?まさか!!」チョウの蛹(さなぎ)が動くことを知らない方は意外にも多いです。

蛹は、一見すると茶色い塊のようですが、実は、時々動いているんですよ。

ツマグロヒョウモンは、幼虫が脱皮を繰り返し、終齢幼虫になります。

そして前蛹期間を経て、蛹化して蛹に変態します。

いったい、ツマグロヒョウモンの蛹の中では、どんな変化があるのでしょうか。

今回は、

  • ツマグロヒョウモンの蛹の動くところを見たことある?
  • ツマグロヒョウモンの蛹の中では何が起こっているの?
  • 蛹化する前の前蛹(ぜんよう)も動くよ
  • まとめ

をまとめました。

ツマグロヒョウモンの蛹が動く姿を見たい方や、蛹の中で何が起こっているか知りたい方、必見です!

ツマグロヒョウモンの蛹の動くところを見たことある?

そもそも、ツマグロヒョウモンの蛹って、どんな形をしているの?

ツマグロヒョウモンの蛹は、全体が茶色、10個のメタリックな突起がついています。

ツマグロヒョウモンの蛹の型は、「垂蛹(たいよう)」です。

垂蛹は、腹端にある懸垂器を糸でからませて、ぶら下がっています。

ツマグロヒョウモンが属するタテハチョウ科のチョウは、垂蛹を作っています。

垂蛹を作るチョウの成虫だけが、止まる時4本脚なんですよ。

ツマグロヒョウモンの蛹

実は私も、ツマグロヒョウモンを飼うまでは、チョウの蛹が動くなんて知りませんでした。

しかし、常に動いているわけでありません。

時々観察していると、蛹が動く機会に巡り合います。

ツマグロヒョウモンの蛹 虫かごのふたの溝に腹端を糸でからませてぶら下がっています。
ツマグロヒョウモンの蛹3日目、激しく動いています 相手もいないのに、攻撃しているように見えますね。

虫かごのふたの端で蛹になったツマグロヒョウモン。

私が虫かごのふたを触ったら、蛹が激しく動き始めました。

誰かがいると思ったのでしょうね。

よくあることですが、虫かごに複数のツマグロヒョウモンの幼虫を入れていると、幼虫が蛹の上に乗っかることがあります。

ツマグロヒョウモンの蛹は、危害が加えられたと思って激しく動きます。

また、外で飼っていると、かわいそうなことに、虫にたかられることもあり、その際にも激しく動きます。

ツマグロヒョウモンの蛹が動く理由①

虫にたかられる、幼虫に乗っかられるなど、危害が及んだから。

ツマグロヒョウモンの蛹 

このツマグロヒョウモンの蛹は、翌朝無事に羽化したそうです。

ツマグロヒョウモンの蛹の中では何が起こっているの?

ツマグロヒョウモンの蛹の中

ツマグロヒョウモンは、幼虫から4回以上脱皮を繰り返します。

ツマグロヒョウモンの幼虫

そして、終齢幼虫になったら、蛹になる場所を見つけ、前蛹(ぜんよう)となりぶら下がります。

ツマグロヒョウモンの前蛹

半日~1日で、蛹に変態します。

変態したばかりの蛹は、幼虫の細胞がドロドロに溶けて、スープ状になっています。

これを「アポートーシス(死滅)」といいます。

成虫原基と、特定の部分しか残りません。

アポトーシスが起こった後、ツマグロヒョウモンの蛹の中では、成虫の体に必要な材料に作り替えられます。

ツマグロヒョウモンの蛹が動く理由②

蛹の中で幼虫の細胞が溶けて、成虫の体に作り替えられているから。

幼虫、特に終齢幼虫は食欲旺盛です。

これは、蛹の中で成虫の体を作るためにエネルギーを蓄える必要があるからです。

ツマグロヒョウモンを飼育するときには、餌をたくさん用意しましょう。

そして、きれいなツマグロヒョウモンの成虫に育てましょう!

ツマグロヒョウモンの幼虫の体が全部溶けるわけではない

ツマグロヒョウモンの幼虫の体が完全にドロドロになるわけではありません。

たとえば、幼虫の時代には、小さな翅のもとがあるんです。

そして、この翅のもとが蛹の中で栄養を取り込みながら厚く強くなっていき、鱗粉がついた翅になります。

幼虫の時にある足も、蛹の中で溶けてしまいます。

しかし、その栄養分は成虫の体を作るために使われています。

ツマグロヒョウモンの蛹化

蛹になったばかりの動画です。

すでに、筋肉のようなものが見えるし、翅になる部分も薄く見えます。

ツマグロヒョウモンの蛹 羽化する30分前

羽化する直前には、体や翅の模様がしっかり見えますね。

ツマグロヒョウモンの蛹の期間は、夏で10日前後。

蛹になりたてと、羽化する前日~直前が大きく変化します。

よーく眺めてみると、面白い発見に出会うことができます!

なんとも愛おしい存在になること、間違いなしです!

蛹化する前の前蛹(ぜんよう)も動くよ

ツマグロヒョウモンの蛹の前段階である、前蛹も動くことを知っていますか?

蛹ほど派手には動きません。

よーく見てくださいね。

ツマグロヒョウモンの前蛹 蛹に囲まれていますね 1匹だけ取り残されて早く蛹になりたいのかな

まとめ

以上、ツマグロヒョウモンの蛹が動く姿や、動く理由をまとめてみました。

蛹の中で起こっている出来事も詳しく解説しました。

「動かない」と私たちが思い込んでいるものも、実は「動く」ものがあるんですね!

チョウは、1~2億年前に誕生したと言われますが、まだまだ分からないことばかりです。

モンシロチョウやアゲハは以前から研究が進んでいますが、ツマグロヒョウモンは研究途上!

将来のツマグロヒョウモン学者が、さらなる面白い研究をしてくれることを望んでいます。

私も若かったら、ツマグロヒョウモンの研究者になりたいところです。

(参考資料)

福田晴男 かとうけいこ「チョウのそだち方」 国土社 2020年

中山れいこ「いのちのかんさつ1 アゲハ」 少年写真新聞社 2012年

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