ツマグロヒョウモンは越冬する?冬の過ごし方

ツマグロヒョウモンの越冬場所生態・特徴

ツマグロヒョウモンはどのようにして越冬するのかご存知ですか?

ツマグロヒョウモンをよく見かける季節は、春・夏・秋などの暖かい時期ですよね。

冬をどんなふうに過ごしているのでしょうか?

この記事では、ツマグロヒョウモンの越冬について

  • ツマグロヒョウモンが越冬する形態
  • ツマグロヒョウモンは冬の間休眠するの?
  • ツマグロヒョウモンが越冬する場所
  • 他の蝶の越冬・休眠の仕方
  • 越冬のまとめ

を書いています。

ツマグロヒョウモンの越冬について知りたいと思っている方、冬の間から飼育に携わりたいと思っている方は、ご一読ください!

ツマグロヒョウモンが越冬する形態

ツマグロヒョウモンってどんな形で越冬するの?

ツマグロヒョウモンは卵や幼虫、さなぎの形態で越冬します。

ツマグロヒョウモンは、秋ごろ産まれた卵が冬に孵化し、幼虫になることがあります。

幼虫の形態で4か月以上生きることもあります(伊藤嘉昭著 「琉球の蝶」東海大学出版会 2009年12月5日 13頁 表5より)。

また、更に少しずつ発育して、春にさなぎになることもあります。

産卵された時期や温度によっては、真冬にさなぎになることも!

ツマグロヒョウモンのオス

ツマグロヒョウモンは、タテハチョウ科タテハチョウ亜科ヒョウモンチョウ類に属し、日本産のヒョウモンチョウ類は14種います。

そのうち、12種のヒョウモンチョウ類は卵や若齢幼虫で冬越しします。

ツマグロヒョウモンは、他のヒョウモンチョウ類とそっくりなのに、1種類だけ違った生態のようです。

*もう1種のヒョウモンチョウ類であるアサヒヒョウモンについては、後ほど述べます。

ツマグロヒョウモンは冬の間休眠するの?

ツマグロヒョウモンは冬の間休眠していますか?

ツマグロヒョウモンは冬の間休眠しません!

ツマグロヒョウモンは、冬の間に休眠しないため、真冬でも昼間の温かい時間には餌を食べていることがあります。

寒さにより、幼虫やさなぎが死んでしまう確率はそう高くありません。

時々、冬に発育してさなぎになり、早春の3月に羽化して成虫になることもあります。

しかし、発育の途中で寒さが厳しくなって、交尾や産卵ができずに死んでしまうことはよくあるようです。

ちなみに、先ほどの12種のヒョウモンチョウ類の中には、成虫で夏眠する蝶がいます。

ビオラに隠れている若齢幼虫のツマグロヒョウモン *これは4月に撮影しているので、冬越ししている写真ではありません

ツマグロヒョウモンが越冬する場所

一般に昆虫は、木の中や落ち葉の下で春を待っていることが多いですよね。

枯れ木の葉の中に混じって止まっていたり、落ち葉の下でじっと隠れていたり。

冬越しの仕方は、幼虫の形だったり、成虫のままであったり、昆虫によって様々です。

冬の間、ツマグロヒョウモンの幼虫は、住宅に植えられたパンジーやビオラで見つけることが多いです。

ビオラに隠れているツマグロヒョウモンの幼虫 3齢幼虫くらいの比較的大きい幼虫ですが、スミレ科の葉に隠れて見えにくいですね *4月に撮影しているので、冬越しの写真ではありません。

もちろん、野生のスミレで見つけることもあります。

ただ、冬の間枯れるものも多いので、冬でも元気に花を咲かせるパンジーやビオラにいる可能性が高いようです。

近年、住宅街でパンジーやビオラを並べている家が多いので、ツマグロヒョウモンは隠れやすくなったようですよ。

他の蝶の越冬・休眠の仕方

アゲハチョウ科の幼虫

有名なモンシロチョウやアゲハはどうでしょうか?

ツマグロヒョウモンは卵や幼虫、さなぎの形で冬越しするのに対し、モンシロチョウとアゲハは、さなぎで冬越しします。

ツマグロヒョウモンは、冬の間休眠しませんが、モンシロチョウやアゲハは休眠します。

植木鉢や木の幹、葉、コンクリートのブロックなどにくっついています。

周りの色に合わせて、緑色になったり、茶色になったり、灰色になったりするんですよ!

モンシロチョウはキャベツ畑の近くでさなぎを見つけることができます。

目を凝らして観察してみてくださいね。

同じ蝶でも、越冬の仕方に違いがありますね。

下の表は、上記をまとめたものです。

種名越冬の形態冬季の休眠・夏眠の有無
ツマグロヒョウモン
(日本産ヒョウモンチョウ類全14種の1種)
卵・幼虫・さなぎ
メスグロヒョウモン、ミドリヒョウモンなど
(日本産ヒョウモンチョウ類全14種の12種)
主に卵、若齢幼虫成虫で夏眠する蝶が多い
モンシロチョウさなぎ冬季の休眠
アゲハさなぎ冬季の休眠
蝶の越冬、冬季の休眠・夏眠について

*日本産ヒョウモンチョウ類14種の残り1種であるアサヒヒョウモンは不明なことが多く、上の表には記載していません。熱帯・亜熱帯性のツマグロヒョウモンに対して、アサヒヒョウモンは北海道の大雪山の高山帯だけに分布する、国の天然記念物なんですよ。

まとめ

以上、ツマグロヒョウモンの越冬する形態や休眠の有無、越冬のする場所についてまとめてみました。

モンシロチョウやアゲハとは違うことも面白いですね。

他の蝶と比べてみると、さらに興味の幅が広がりますよ!

また、越冬についてまとめるにあたって、「琉球の蝶」(伊藤嘉昭著 2009年12月5日 東海大学出版会)という本をとても参考にさせていただきました。

この本は、ツマグロヒョウモンの越冬に関してはもちろん、ツマグロヒョウモンの擬態や北進などについて研究者目線で書かれています。

ツマグロヒョウモンについて詳しく知りたい方は読んでみると面白いと思います。

(参考資料)

伊藤嘉昭「琉球の蝶」東海大学出版会 2009年12月5日

福田晴男 かとうけいこ「日本のチョウ大図鑑2」 国土社 2021年2月10日

新開孝「ぜんぶわかる!モンシロチョウ」ポプラ社 2014年5月

今泉忠明「いきものとなかよし はじめての飼育 アゲハ」 金の星社 2013年3月

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