ツマグロヒョウモンの蛹(さなぎ)を育てていると、羽化する日数や羽化する時間帯を知りたくなります。
ツマグロヒョウモンの蛹を十分に観察しながら羽化を楽しみに待ちたいものですね。
実は、ツマグロヒョウモンが羽化してしばらくすると、赤い液が出ます。
「血?」と驚くかもしれませんが、安心してくださいね。
今回は、ツマグロヒョウモンの蛹の羽化について
- ツマグロヒョウモンの蛹が羽化するまでの日数は?
- ツマグロヒョウモンの蛹が羽化する時間帯は?
- ツマグロヒョウモンの蛹が羽化したときに出る赤い液は何?
- まとめ
をまとめました。
今回は、熊本県在住の私が飼育した観察結果も含めて、日数や時間帯をお伝えします。
ツマグロヒョウモンの蛹が羽化するのを楽しみにしている方は、ぜひご覧くださいね!
ツマグロヒョウモンの蛹が羽化するまでの日数は?
ツマグロヒョウモンが蛹になったら、羽化するまでそれほど大きな変化はありません。
時々動く程度ですので、じっと待っていてくださいね。
羽化するまでの日数は、季節によって異なる
蛹から羽化するまでの日数は、季節によって異なります。
寒い季節であれば長くなり、暑い季節であれば短くなります。
ツマグロヒョウモンについて詳細に書かれている本
「琉球の蝶 伊藤嘉昭著 2009年12月5日 東海大学出版社」
によると、愛知県日進市で観察された記録が示されています。
それによると、
4~5月は14日程度、6月は9~11日、7月は6~9日、8月は8~10日
のように、暖かくなるとだんだん短くなることが分かります。
そして、10月は10~12日、11月は21~25日のように長くなります。
12~1月では、なんと2か月近く、蛹の期間をみることができます。
蛹は約10度以下では生息できないため、寒い時期に飼育する場合は注意しましょう!
夏での日数(私の観察結果)
では、私の観察結果もお知らせします。
蛹化した日 | 2022年 5月11~20日 | 2022年 5月21~31日 | 2022年 6月 | 2022年 7月 |
日数 | 11~13 | 8~11 | 7~9 | 7~8 |
平均 | 12.3 | 8.9 | 8.5 | 7.4 |
全数 | 3 | 30 | 24 | 20 |
2022年5~7月の記録です。
涼しい5月は12.3日でしたが、その後暖かくなるにつれ、だんだん短くなっています。
特に7月には全て7,8日で羽化しています。
この方も7月に8日間で羽化したようですね。
大体の日数を把握しておくと、準備ができますね。
ツマグロヒョウモンの蛹が羽化する時間帯は?
ツマグロヒョウモンの蛹が羽化する時間帯について、私の観察結果をお伝えします。
ツマグロヒョウモンが 羽化した数(匹) | 割合(%) | |
早朝~8時 | 69 | 60.0 |
8時~12時 | 27 | 23.5 |
12時~18時 | 19 | 16.5 |
5~7月に羽化したツマグロヒョウモンのうち、6割が8時までに羽化していることが分かります。
この表から分かるように、明るい時間に羽化しています。
夜に羽化したことは私の経験上、ありません。
また、12時~18時と記載していますが、ほとんどが16時までに羽化しています。
この方も早朝に羽化したんですね。
そうそう、5時台に羽化することがよくあります。
羽化する時間は1~3分程度。
しっかり観察しておかないと見逃してしまいます。
隣で家事をしていたのに、見逃してしまった経験が何度もあります。
【私の観察日記】
屋外で蛹になったツマグロちゃん。
梅雨の時期で、2日間、大雨が続いていました。
夕方、雨が止むと、18時頃、ツマグロヒョウモンのメスが羽化しました。
まるで、晴れる時を待っていたかのように。
雨音を聞いていたのかな?
私が観察した中で、一番遅い時間に羽化したツマグロヒョウモンになりました。
ツマグロヒョウモンの蛹が羽化したときに出る赤い液は何?
ツマグロヒョウモンが羽化してしばらくすると、赤い液が落ちてきます。
血が出たのでは!?と焦る必要はありません。
これは、「蛹便(ようべん)」といいます。
蛹便は、蛹期間中に発生した排泄物です。
蛹便の色は、チョウの種類によって違います。
ツマグロヒョウモンは赤色です。
この赤色は、摂取した植物やツマグロヒョウモン自身が生合成した色素です。
蛹便の色は、チョウによって違います。
同じタテハチョウ科のアカタテハの蛹便は濃いピンク色です。
アゲハチョウ科のジョコウアゲハは濃い茶色の蛹便を出します。
【蛹便を出す場所】
ツマグロヒョウモンの蛹便は、上の写真のように蛹の外に出します。
しかし、アゲハは、蛹の中に出します。
このように同じ蝶でも違いがあります。この違いを楽しむのもいいですね!
まとめ
ここでは、ツマグロヒョウモンの蛹が羽化するまでの日数や時間帯についてまとめてみました。
今回は、熊本県在住の私の観察結果も報告いたしました。
ツマグロヒョウモン好きの皆さんの観察結果は、私の結果と比べてどうでしょうか。
また、赤い液、つまり、蛹便についてもお伝えしました。
まだまだ、謎が多いツマグロヒョウモン。
来年もツマグロヒョウモンの観察を続けていきます!
(参考資料)
福田晴男 かとうけいこ「チョウのそだち方」 国土社 2020年
伊藤嘉昭「琉球の蝶」東海大学出版会 2009年12月5日
中山れいこ「いのちのかんさつ1 アゲハ」 少年写真新聞社 2012年