ツマグロヒョウモンって知っていますか?
最近、西日本ではよく見られる蝶です。
ツマグロヒョウモンは、小学生の教科書に載っているので、親世代より子供世代の方がよく知っているかもしれません。
今回は、ツマグロヒョウモンについて、
- 美しい蝶、ツマグロヒョウモン
- ツマグロヒョウモンの生態と分布
- ツマグロヒョウモンが見られる時期、食草、環境など
- まとめ
をまとめました。
ツマグロヒョウモンの総論的な内容なので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
美しい蝶、ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモンとは、チョウ目タテハチョウ科タテハチョウ亜科の蝶です。
そして、タテハチョウ亜科のヒョウモンチョウ類というグループに属します。
日本には、14種類のヒョウモンチョウ類の蝶がいます。
学名は、Argyreus hyperbiusで、漢字では「褄黒豹紋」と書きます。
大きさは約27〜38mmです。
モンシロチョウより大きく、アゲハより小さいです。
雄は、はねの表側全体がオレンジ色でヒョウ柄です。
雌は、表側全体がオレンジ色でヒョウ柄に加え、前ばねの先の方は黒と白や帯があります。
また、雌は、鳥たちから敬遠されているカバマダラという毒蝶に擬態しています。
詳しくは、「ツマグロヒョウモンのオスとメスの見分け方 https://tsumagurohyomon.net/osu-mesu/」を参照してください。
ツマグロヒョウモンの生態と分布
生態
卵→幼虫→さなぎ→成虫
ツマグロヒョウモンは、
の順番で成長します。
これを「完全変態」と呼びます。
有名なモンシロチョウやアゲハも同じようにこの順番で大きくなります。
詳しくは、「ツマグロヒョウモンが羽化する日」を参照してください。
また、ツマグロヒョウモンは、1年に何回も世代交代を繰り返しますが、季節型はありません。
春でも夏でも、同じ色や模様のツマグロヒョウモンが見られます。
分布
ツマグロヒョウモンについて説明してきましたが、一体どこにいるのでしょうか?
戦前には沖縄の島々および九州や四国の南部に生育していました。
つまり、熱帯、亜熱帯性の蝶なんです!
現在では、九州、四国全域だけではなく、関東地方でも見られるようになりました。
私は46年間、熊本に住んでいますが、小さい頃、ツマグロヒョウモンを見たことがありませんでした。
しかし今では、蝶といえばモンシロチョウ、アゲハ、そしてツマグロヒョウモンというほど、多く見られるようになりました。
これは、地球温暖化の影響や幼虫の餌であるパンジーやビオラなどが冬から春にかけて多く栽培されているからと言われています。
また、台湾や中国の中・南部、インド、東南アジア、オーストラリアにも生息しています。
ひろーく分布していますね。
ツマグロヒョウモンが見られる時期、食草、環境など
見られる時期
沖縄では1年中見ることができます。
関東地方以南では、成虫は約3月から10月まで見ることができます。
それ以外の時期では卵や幼虫、蛹の形で発見されることが多いです。
食草
卵から孵化した幼虫は、パンジーやビオラ、パンダスミレ、ノジスミレなどのスミレ科の植物を食べます。
詳しくは、「ツマグロヒョウモンの幼虫の餌 https://tsumagurohyomon.net/food-for-larvae/」を参照してください。
成虫は、コスモスやセイタカアワダチソウなどを吸蜜します。
また、発酵した果物や動物の死骸や排泄物も好みます。
生息地
山地や草原、沿岸地域など、さまざまな環境に生息しています。
最近は、パンジーやビオラなどのスミレ科の花が栽培される影響で、市街地でも見られるようになりました。
【知っていましたか?】
ガとチョウを含むチョウ目の9割以上は、ガです!!
日本には約4800種類のガがいます。
嫌われ者のガですが、ガの世界も魅力にあふれていますよ!
休眠
1年何世代も完全変態を繰り返しますが、夏も冬も休眠することはありません。
越冬は幼虫やさなぎの形で行いますが、眠ることがないんですよ。
真冬のパンジーにツマグロヒョウモンの幼虫が、隠れていることがあります。
その時は、そっと見守っていてくださいね。
まとめ
以上、ツマグロヒョウモンの総論を書いてみました。
ツマグロヒョウモンのことが分かりましたか?
機会があれば、パンジーの近くを探してみてください。
葉の裏にひっそりと隠れる1齢幼虫や、堂々と花を食べる終齢幼虫が見つかるかもしれません。
雌であれば、お尻を曲げて卵を産んでいる瞬間が見られるかも。
飼育してみるのも楽しいですよ!!
(参考資料)
伊藤嘉昭 「琉球の蝶」東海大学出版会 2009年12月5日
松本克臣 「ヤマケイポケットガイド⑨チョウ・ガ」 山と渓谷社 1999年4月20日
「小学館の図鑑NEO〔新版〕昆虫」小学館 2002年7月20日
福田晴男 かとうけいこ 「日本のチョウ大図鑑②タテハチョウ・セセリチョウ」 国土社 2021年2月10日