ツマグロヒョウモンの幼虫を食べる「天敵」。
ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵は、アシナガバチや寄生虫だけではありません。
ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵が何か把握することで、成虫まで大事に育てることができますね。
今回は、
- ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵
- 天敵から守る方法
- 人間もツマグロヒョウモンの幼虫の天敵?
- ツマグロヒョウモンは自分で自分の生存率を下げる
- 盲点:前蛹の意外な天敵
- まとめ
を書きました。
私は、ツマグロヒョウモンの幼虫が大好きなので、天敵に襲われている写真は撮れません。
私と同じようにかわいそうな写真を見たくない方!
安心してこのブログを読むことができますよ。ぜひご参照ください。
ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵は何?
アシナガバチ
アリナガバチは、ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵のうち、最も注意すべき天敵の一つです。
肉食性で、多くの昆虫幼虫を捕食します。
自分のエネルギー補給のため、その場で食べることがあります。
それだけでなく、幼虫の緑色の体液を団子状にして巣に持ち帰り、ハチの幼虫に与えます。
そうすることで、ハチの幼虫の成長を助け、巣全体の生存率を高めます。
アシナガバチは、一度エサ場を見つけると毎日何度もやってきますよ。
注意です!!
【私の観察日記:ハチは花のミツを吸うものとの先入観】
私の先入観がツマグロヒョウモンの幼虫を危険にさらした例。
ツマグロヒョウモンの幼虫がビオラに何匹も群がっていました。
まるまる太った終齢幼虫でした。
そこへ毎日、小さめのハチがやってきていました。
ビオラの花の蜜を吸っているのかなと軽く考えていたら…。
なんとツマグロヒョウモンの幼虫を食べていたんです!!
肉食のハチがいるなんて知らなかったんです。
今思えば、あのハチはアシナガバチだったんでしょうね。
ここで、アシナガバチの特徴を押さえておきましょう。
【アシナガバチの外見の特徴】
- 体色は茶色や赤褐色、黒と黄色の縞模様
- スズメバチほど鮮やかな色をしていない
- 細長い体と長い足を持ち、飛んでいる時に足が垂れ下がる
- 体長2~3センチ
- ミツバチより大きい
アリ
アリは、地上にいる幼虫を見つけると集団で攻撃し捕食します。
特に、弱った幼虫が地面に落ちた場合、アリに襲われる危険性が高まります。
カマキリ、カメムシ、クモ
カマキリ、カメムシ、クモなどもツマグロヒョウモンの幼虫を捕食します。
自然飼育している場合は、注意すべき天敵です。
コマユバチなどの寄生バチ
ツマグロヒョウモンの幼虫は、コマユバチの一種に寄生されることもあります。
コマユバチは、一般的には体長が数ミリから数センチの寄生バチです。
このコマユバチは、ツマグロヒョウモンの幼虫の体内に産み付けます。
幼虫の体内で成長して繭を作り、羽化してコマユバチになります。
天敵から守る方法
天敵からツマグロヒョウモンの幼虫をを守るためには、
- 防護ネット、昆虫ゲージを使用する
- 家の中や天敵がやってこない場所で飼育する
などの対策が必要です。
防護ネット、昆虫ゲージは、通販サイトやホームセンターに売っています。
メッシュ素材で通気性の良いものを使用しましょう。
私は、アシナガバチ対策のため簡易的なネットを使用しました。
そうしたら、隙間からアシナガバチが入ってきました。
数日間アシナガバチと本気で戦いましたが、降参して幼虫を家の中に入れました。
しっかり対策を行いましょう!
人間もツマグロヒョウモンの幼虫の天敵?
人間の活動もツマグロヒョウモンの幼虫にとっての脅威となります。
農薬
農薬の使用は、幼虫の生存率を大きく下げる要因となります。
買ってきたばかりのビオラには農薬がついていることがあります。
食草の近くで除草剤をまくことも、ツマグロヒョウモンの幼虫にとってはリスクの一つです。
除草
自治体の活動によるスミレ科の植物の除去や手入れ。
これも、幼虫の生息場所を減少させる原因です。
ツマグロヒョウモンは自分で自分の生存率を下げる
少ないエサの葉に卵を多く生んだことによって、エサ不足になることもあります。
また、数匹であっても、食い尽くしによりスミレ の株・ 葉がなくなるとエサ不足に陥ります。
エサがなくなると、ツマグロヒョウモンの幼虫は辺りかまわず歩き回ります。
そして、交通事故にあうことも。
大雨が降れば流されます。
ツマグロヒョウモンの幼虫が生きる環境は過酷と言えますね。
盲点:前蛹の意外な天敵
幼虫がさなぎになる前、ぶら下がっている状態を前蛹と言います。
見た目は幼虫なので、ハチ等から捕食されますが、ここで意外な盲点も。
実は、仲間のツマグロヒョウモンの幼虫が天敵になります。
ツマグロヒョウモンの幼虫が動き回り、前蛹を邪魔して落とすこともあります。
まとめ
今回は、ツマグロヒョウモンの幼虫の天敵について、詳しくお伝えしました。
アシナガバチだけでなく、他の虫や人間も天敵になります。
寄生バチは、幼虫だけでなく、さなぎになっても寄生することがあります。
ツマグロヒョウモンを飼育するためには、天敵の存在を把握することが大事ですね。
天敵に襲われてしまったら悲しい気持ちになりますが、次回からの教訓にしましょう。
(参考資料)
伊藤嘉昭(2001)名古屋市周辺で普通種となったツマグロヒョウモンの生態 日本昆虫学会 4 巻 3 号 p. 73-89
福田晴男 かとうけいこ 「チョウのそだち方」国土社 2020年5月